卒業式

昨日、卒業式がありました。心理学研究室から、4年生18名、修士3名が巣立ちました。学部生・院生・教員というそれぞれの立場で、金沢大学から卒業していく先輩・同級生・後輩を見送り続けてもう20年近くになります。以前は、毎年毎年仲間が去っていってしまうのがとても寂しくて、でも自分だけは同じ研究室にずっと居続けていて、そういう思いがとても強く、3月はいつも憂鬱で苦手でした。でも子どもができてからは、旅立っていく若者たちを違う目で見ることができるようになりました。卒業生たちの、これからはじまる新しい人生には、まだ分からない新しい可能性がたくさんあることをとても嬉しく感じます。そして、皆さんがそれぞれ選んだ道で、時には困難なことにぶつかることがあるだろうけれど、自分の力を信じて、困難を乗り越え、人生を切り開いてほしいと、心から暖かい気持ちで送り出せるようになりました。一緒に同じ時間を過ごした人たちがいなくなる寂しさはやっぱりありますが、一緒に学んだ才能豊かな学生さんたちが社会へ旅立つことの喜びはとても大きいです。卒業、おめでとう!

第2回金沢大学子どものこころサミット

2012年3月16日から18日の3日間、子どものこころサミットが開催されました。私は、二日目午前におこなわれた「子どものこころの発達研究センター研究成果発表会」のセッションで、「障害をもつ子を産むということ、障害をもつ子が育つということ:心理学研究を通じて」というタイトルで発表しました。日本における聴覚障害の早期発見と支援の現状と問題について説明し、これまで発達心理学会で発表してきた荒木(2010)と荒木(2012)の研究を報告しました。人工内耳装用児へのインタビューを通じて、聴覚障害児の保護者が人工内耳手術を選択するという現実にどのような問題があるのか、何を大切に考えていったらよいのか、皆さんに考えていただくきっかけになれたら、と思いながら発表してきました。

なお、このサミットは、主に発達障害に関する研究発表の場であり、バンビプランで実施してきた幼児の脳機能測定の開発に関連する研究、オキシトシンの脳内作用に関する研究など、ほとんどが理系研究者によるものです。その中で、文系でしかも聴覚障害をとりあげた私の発表はかなり異質であることがはじめから分かっていたため、発表前は本当に緊張しました。リラクセーション・スキルの習得といって筋弛緩訓練の話を授業でしている私がガチガチに緊張していたのですから、この仕事本当に向いてないなあとつくづく思いました・・・

発達心理学会

名古屋国際会議場で開催された発達心理学会に参加し,ポスター発表をおこなってきました。聴覚障害に関する研究はまだ手探りの状態ですが,多くの先生方から前向きなコメントを頂戴しました。はじめてお目にかかった先生から参考となる文献などもご教示いただき,最後に「すてきな研究だと思います」というお言葉までいただき,感激しました。実験でも調査でもなく,ただのシングルケースのインタビューなのですが,これからも継続していこうという思いを新たにしました。

ポスター発表の前に,ソーシャル・モティベーション研究会の企画したラウンドテーブル(移行・越境する学びを「動機づけ」はいかに説明するのか)に参加しました。マルチレベルモデルという新しい分析手法を用いた研究の紹介でしたが,基礎統計量の提示なしに,分析の結果としてモデルのパス係数が有意だったとかいう議論には違和感を感じました。「移行」をうまく捉え切れていない,「学び」という抽象概念が操作的に定義されていないため議論がかみ合っていない,という青柳先生のコメントには,非常に共感しました。青柳先生,さすがです!

しかし,名古屋は人が多かったです。名古屋駅の上のホテルに宿泊しましたが,ホテルも満室,駅構内は待ち合わせる人でごった返し,ホテルの下に入っているタカシマヤはどのフロアもレジ待ちで長蛇の列・・・ 金沢駅周辺では考えられない人の多さでした。そして,名古屋の人は大きなものが好きなのでしょうか。国際会議場に中央に置かれた,とてつもなく大きな白い騎馬像を見て,10年ほど前にも何かの学会で来たことを思い出しました。その学会が何だったかはまったく思い出せないのですが,ナナちゃん人形とあの大きな騎馬像だけは印象に残っています。