2013年3月7日から8日,金沢大学角間キャンパスにおいて金沢認知科学シンポジウム2013が開催されました。私は,以下の研究について報告しました。学長奨励の助成を受けた3年生の学生さんと一緒に考え,いろんな人の協力を得て,彼が筑波まででかけてデータをとってきた研究です。今回,発表用にデータを再分析してみて,手話の開始時期がきわめて早い人は,音韻ループを使用していないために認知的情報処理の仕方が特異的であることが分かりました。今回のストループ課題はひらがなでしたが,漢字の場合はきっと結果が異なるのではないでしょうか。今回得たサジェスチョンを今後の研究に生かしていきたいと思います。
「聴覚障害者の視覚的認知機能 —ストループ課題を用いて」
本研究では,先天性聴覚障害のある大学生(聴覚障害群)および健聴の大学生(健聴群)各31名を対象に、新ストループ課題2を実施し,視覚的認知情報過程で生じるストループ干渉および逆ストループ干渉の程度について検討をおこなった。その結果,聴覚障害群は,健聴群と比較し,逆ストループ干渉がより強く生じた。ストループ干渉については群間に差はみられなかった。また,聴覚障害群の中でも幼児期から手話を使用していた人は,青年期に手話の使用を開始した人と比べて,ストループ干渉がきわめて小さいことが示された。