Fredrickson & Branigan (2005)

今日の「ポジティブ心理学」では,ポジティブ感情とネガティブ感情の機能について話しました。ポジティブ感情の拡張ー形成理論を提唱したフレドリクソンのおこなった実験(Fredrickson & Branigan,2005)を説明する前に,感情操作の簡単なデモンストレーションをおこなってみました。はじめてやったのでうまくいくか心配でしたが,感想を読む限りでは,ポジティブ感情を喚起させて思考が広がったことを実感できた学生さんが多かったようです。自分のネガティブなところを克服したい,ポジティブになる方法を知りたい,という動機づけでこの講義を受講した方が多かったのですが,今日の講義を通じて,ネガティブ感情・ポジティブ感情のそれぞれに役割があること,だからこそネガティブさを克服しようとするのではなく,両方のバランスを保つのが大切であることを今回理解してもらえて良かったです。次回は,ネガティブ感情・ポジティブ感情の黄金比,ネガティブ感情との上手なつきあい方についてお話しようと思います。その後は学習性無力感理論,防衛的悲観主義の話をして,この講義をおしまいにしようと思います。あと5回です。先が見えてきました!

「ビューティフル・マインド」と「べてるの家」

今日のポジティブ心理学の講義では,北海道の施設「べてるの家」をとりあげた報道番組の動画を視聴しました。前回・前々回は「ビューティフル・マインド」という映画を2回に分けて見ました。この映画は,主人公が統合失調症を発症しつつも妻や友人に支えられながら生活し,ノーベル賞を受賞するというストーリーです。こちらの意図としては,ポジティブ心理学で取り上げられているような人間の強さやレジリエンスについて考えてもらえたらと思っていたのですが,感想を読むとそれだけではなく,統合失調症って怖いという印象が強かったことがわかりました。そのため,精神障害は特別なことではないということを理解してもらうため,実際の患者さんの様子をみてもらい,映画で受けた印象を払拭してもらいたい,というねらいがありました。

今日の感想を読むと,映画の印象が変わったという声が多く,ほっとしました。今回は映画を講義で見ることのメリット・デメリットを教員として学びましたが,感想を書いてもらわなかったらこのことには分からなかったので,面倒でも毎回感想を書いてもらうことは必要だと感じました。

その後,本来の講義内容に戻り,幸福感とGDPの国際比較研究を紹介し,幸せとは何かについて考えてもらいました。クイズ形式?で各自回答を書いてもらいつつ進めましたが,案外このスタイルは好評だったようです。一方で,私語がうるさくてじゃまだったという感想もありました。教養の講義なので,興味のない学生さんも中にはいるのでしょうね。教養の講義ははじめてなので,いろいろと試行錯誤しながら進めていく感じです。

来週は都合により休講です。講義の終わりにそのことを告げると喜びの声があがっていました。最近は昔ほど休講がなくなりましたね。私が城内で教養を取っていた頃はしょっちゅう休講があったものです。時代は変わりますね。受講生の皆さん,来週は各自で有意義な時間をお過ごし下さいませ。

ポジティブ心理学 講義2回目

共通教育の「ポジティブ心理学」の講義2回目をおこないました。今日は,従来の心理学が心の働きのネガティブな部分に注目して発展してきたことを説明しました。アルバート坊やの恐怖条件づけ,知能検査の開発の経緯,戦争神経症,PTSD,ロボトミー手術,などなど,本当にネガティブな話ばかりが続いてしまい,嫌な不快な気分にさせてしまったかもしれませんね。沈んだ気分を変えて講義を終わらせたかったので,最後に「五体不満足」の著者である乙武さんの動画を視聴しました(ototake・mp4)。5月6日に仙台市でおこなわれたプロ野球始球式の様子です。音が出なかったというトラブルがありましたが,出席カードの感想を拝見すると,ポジティブ心理学が重要視している人間の強さを感じてくれた学生さんが多かったことが分かり,ほっとしました。次回からやっとポジティブ心理学に入ります。今日がネガティブだった分,余計ポジティブ心理学への期待を高めてしまったようです。学生さんのご期待に添えるように,ポジティブ心理学を体感してもらえるように,次回の講義を頑張ります。

教養

 昨日,教養(共通教育)の講義「ポジティブ心理学」1回目が無事終わりました。先週のガイダンスでは200人ほどだったのが,追加で220人ほどになりました。これだけ多くの人の前に立つと,なんだかエネルギーを吸い取られるような気がします。

 ガイダンスでのアンケートから,心理学について学んだことがない人が多いことが分かったため,1回目の講義は「心理学となにか」について説明することで,ポジティブ心理学が生まれるに到った経緯を理解してもらおうと考えました。また,分かりやすく,実践的な講義を期待されていることも分かったため,今回はデモンストレーションを二つ用意しました。一つ目は,院生時代に専門学校で心理学の授業をおこなったときに考えたものです。心理学はカウンセリングだと思っている学生さんにとっては,目から鱗のようだったようで,好評でした。二つ目は,ステレオタイプ的認知の有名な問題「ドクタースミス」です。講義後に提出してもらった感想を読むと,「無意識に先入観を持っていることがよくわかった」という感想が多く,実際に体験して学ぶことは大切だと改めて思いました。簡単にデモンストレーションできるものってなかなか思いつかなくて難しいのですが,やはり必要だと改めて感じました。また何か体験できるものを探して次回以降取り入れていこうと思います。