第2回金沢大学子どものこころサミット

2012年3月16日から18日の3日間、子どものこころサミットが開催されました。私は、二日目午前におこなわれた「子どものこころの発達研究センター研究成果発表会」のセッションで、「障害をもつ子を産むということ、障害をもつ子が育つということ:心理学研究を通じて」というタイトルで発表しました。日本における聴覚障害の早期発見と支援の現状と問題について説明し、これまで発達心理学会で発表してきた荒木(2010)と荒木(2012)の研究を報告しました。人工内耳装用児へのインタビューを通じて、聴覚障害児の保護者が人工内耳手術を選択するという現実にどのような問題があるのか、何を大切に考えていったらよいのか、皆さんに考えていただくきっかけになれたら、と思いながら発表してきました。

なお、このサミットは、主に発達障害に関する研究発表の場であり、バンビプランで実施してきた幼児の脳機能測定の開発に関連する研究、オキシトシンの脳内作用に関する研究など、ほとんどが理系研究者によるものです。その中で、文系でしかも聴覚障害をとりあげた私の発表はかなり異質であることがはじめから分かっていたため、発表前は本当に緊張しました。リラクセーション・スキルの習得といって筋弛緩訓練の話を授業でしている私がガチガチに緊張していたのですから、この仕事本当に向いてないなあとつくづく思いました・・・

発達心理学会

名古屋国際会議場で開催された発達心理学会に参加し,ポスター発表をおこなってきました。聴覚障害に関する研究はまだ手探りの状態ですが,多くの先生方から前向きなコメントを頂戴しました。はじめてお目にかかった先生から参考となる文献などもご教示いただき,最後に「すてきな研究だと思います」というお言葉までいただき,感激しました。実験でも調査でもなく,ただのシングルケースのインタビューなのですが,これからも継続していこうという思いを新たにしました。

ポスター発表の前に,ソーシャル・モティベーション研究会の企画したラウンドテーブル(移行・越境する学びを「動機づけ」はいかに説明するのか)に参加しました。マルチレベルモデルという新しい分析手法を用いた研究の紹介でしたが,基礎統計量の提示なしに,分析の結果としてモデルのパス係数が有意だったとかいう議論には違和感を感じました。「移行」をうまく捉え切れていない,「学び」という抽象概念が操作的に定義されていないため議論がかみ合っていない,という青柳先生のコメントには,非常に共感しました。青柳先生,さすがです!

しかし,名古屋は人が多かったです。名古屋駅の上のホテルに宿泊しましたが,ホテルも満室,駅構内は待ち合わせる人でごった返し,ホテルの下に入っているタカシマヤはどのフロアもレジ待ちで長蛇の列・・・ 金沢駅周辺では考えられない人の多さでした。そして,名古屋の人は大きなものが好きなのでしょうか。国際会議場に中央に置かれた,とてつもなく大きな白い騎馬像を見て,10年ほど前にも何かの学会で来たことを思い出しました。その学会が何だったかはまったく思い出せないのですが,ナナちゃん人形とあの大きな騎馬像だけは印象に残っています。

認知科学シンポジウム

平成24年2月20・21日,金沢大学角間キャンパスにて,金沢大学人間社会研究域特定研究シンポジウム 「ことばと認知 -言語・非言語コミュニケーション研究の現状と課題」 が開催されました。

私は,二日目午後のセッションの座長と話題提供を担当しました。基調講演では,東京電機大学の小林春美先生をお招きし,「他者意図の理解と言語獲得」というテーマでご講演いただきました。小林先生の精力的な実験研究についてのお話をうかがい,たくさんの刺激を受け,有意義なシンポジウムとなりました。私は今回はじめて小林先生にお目にかかることができ,ご講演をとても楽しみにしていました。にこやかに,丁寧に,エレガントに,わかりやすくお話をされる姿がとても印象的でした。

私の話題提供は「人工内耳装用児における音声言語の獲得について」というタイトルで発表しました。私は言語学も認知科学もまったくの門外漢なので,このような内容で発表するのはとても気後れがして,大変緊張しましたが,改めて考え直す良い機会となりました。脳科学や言語学の分野では,人工内耳による音声言語獲得のプロセスをどのように分析するのか,これまでとても興味を持っていましたが,このシンポのおかげで脳科学者や言語学者の方とお話をする機会を得ることができました。今後どのように研究として発展させていけばよいのか,これから考えていこうと思います。

今回シンポジウムを企画して下さった小島先生も,第一回シンポが盛会に終わってご苦労が報われたのではないかと思います。懇親会でも,大変うれしそうでした!お疲れ様でした&ありがとうございました!!

サマー・カンファレンス

日本発達心理学会ソーシャル・モチベーション研究分科会のサマー・カンファレンスが京都の同志社大学今出川キャンパスで開催され、5年ぶりに参加してきました。

私は二日目の午後に行われた研究発表会の指定討論の任務を仰せつかりましたが、あまり詳しくない研究3つに対してのコメントは、やっぱり難しかったです・・・ しどろもどろになってしまいました。自分の考えをゆっくりとわかりやすく丁寧に他者に伝えるスキルをもっと身につけないといけないと痛感させられました。

普段は、刺激のない生ぬるい状況に身をゆだねているため、こういった場にもっと参加する機会を作らないといけないと改めて感じました。そのうち、指導する学生さんと一緒にサマカンに参加できるようになったりするのでしょうか・・・・・

院生時代から親しくさせてもらっている他大学の同世代の研究者たちと久しぶりにお会いすることができ、楽しい時間を過ごすことができました。院生だった私たちがそれぞれ大学に就職し、家庭を持ち、育児をする立場になり、お互いに大きく環境が変化していますが、研究に対する思いは変わらず、タイムラグを感じずに昔と同じように話をすることができたことは本当に嬉しかったです。また、金沢では決してできない、動機づけ研究の熱い議論に参加させてもらい、大いに刺激を受けました。非常に充実した嬉しい二日間でした。企画者の皆さん、ありがとうございました。